夏が近づくと、保育園では水あそびやプールが始まり、子どもたちの服装も自然と軽くなります。
その中で、男の子と女の子のからだの違いに気づいたり、

「どうして隠すの?ぼくのとちがう!」
と、素直な言葉で疑問を口にする子も。
私が年長児の担任をしていたときも、まさにこの時期に子どもたちからたくさんの「からだ」にまつわる質問が出ました。
「どう伝えたらいいだろう?」と悩みながらも、子どもたちの気づきや疑問に寄り添うことを大切にしていました。
最近では、子どもを狙った悲しいニュースも目にすることがあり、「自分のからだは自分で守っていい」「イヤなことはイヤと言っていい」ということを、幼いうちから少しずつ伝える大切さも感じています。
だからこそ今、親子で“からだのたいせつさ”を自然に、優しく話せるきっかけになる絵本「うみとりくのからだのはなし」をご紹介します。
元保育士の私からも本当におすすめの絵本です。
絵本のあらすじ、魅力についても保育士視点で解説しますので是非最後までご覧ください。
『うみとりくのからだのはなし』ってどんな絵本?

絵本 | うみとりくのからだのはなし |
作 | 遠見才希子 |
絵 | 佐々木一澄 |
出版 | 童心社 |
ページ数 | 32頁 |
初版年月日 | 2022年3月1日 |
対象年齢 | 4・5歳から |
受賞 | 全国学校図書館協議会選定 |
『うみとりくのからだのはなし』あらすじ

『うみとりくのからだのはなし』は、双子の「うみ」と「りく」が主人公の性教育(プライベートパーツの大切さを知る)絵本です。
見た目はそっくりなふたりですが、感じ方はちがいます。たとえば、なでられるのが好きなりくと、苦手なうみ。
そんなふたりのやりとりを通して、「自分の体は自分のもの」「ふれていいかは自分で決めていい」という“自分の体を大切にすること・同意の大切さ”が、やさしく描かれています。
物語では、相手にふれるときには同意が大切なこと、プライベートパーツは自分だけのものだということ、「いや」と言っていいことなど、大事なポイントがわかりやすく伝えられています。
童心社公式さんより、絵本紹介動画が紹介されています▼
絵本のここがすごい!おすすめポイント

1. 小さな子どもにもわかりやすい内容
双子のちがいを通して、「人によって感じ方はちがう」ということを自然に理解できるお話です。「同意」や「プライベートパーツ」など、大切な性教育のポイントも、わかりやすい具体例で描かれています。
2. 家庭や園での性教育にぴったり
「自分の体を大切にする」「相手の体も大切にする」という気持ちを、子どもと一緒に考えるきっかけになります。性犯罪の予防や、人を傷つけない心を育むための導入にも最適です。
3. 多様性や人権へのやさしいまなざし
絵本の中には、いろいろな子どもたちが登場。多様性や人権への配慮が感じられ、安心して読める内容です。
4. 大人にも気づきがある一冊
「気持ちの受け取り方は人それぞれ」「同じことでも、感じ方は変わるかもしれない」――そんな視点に、ハッとさせられる場面も。大人が読んでも学びのある絵本です。
元保育士が感じた、絵本「うみとりくのからだのはなし」からの学び

保育園では、水あそびやプールあそびが始まる夏。
子どもたちの服装が軽くなるとともに、自然と「からだ」への関心も高まります。(特に、プール遊びでのお着替え時間などから興味を持ち始めます)
私が年長クラスを担任していたときも、「最近の子は興味をもつのが早いなぁ」と感じていました。
このような気持ちが芽生えるのも、5歳児くらいから少しずつ見られるようになります。
でも、ふざけている本人は楽しくても、周りの子はどう感じているでしょう?
保育士として、その様子を見ていると「からだのこと」はしっかり丁寧に伝えていく必要があると強く感じました。
園全体や園長とも話し合い、保護者の方とも連携しながら、からだについてきちんと伝える取り組みを行っていました。
「性教育」はむずかしくない|5歳から伝えられる大切なこと
「性教育」と聞くと、伝える側もつい身構えてしまうことがありますよね。
しかし、伝え方によっては幼児期からでも「大切な事」を伝えることが出来ます。
5歳前後の子どもたちには難しい専門用語よりも、このような言葉で伝えていました▼
年齢に応じて「伝え方」は変わりますが、“伝えるべき大切なこと”は共通しています。
そんなとき、この絵本『うみとりくのからだのはなし』は、まさにぴったりの1冊だと感じました。
子どもに伝わる絵本だからこそ、親子で読みたい
この絵本のイラストやストーリーは、どこか親しみやすく、保育園や家庭でも自然に読み聞かせに取り入れやすいものとなっています。
「ふざけるのが楽しい時期」から、「知識として理解できる時期」へと移っていく子どもたち。
そんな成長の中で、親子でいっしょに“からだのたいせつさ”を考える時間をもてたら素敵ですよね。

子どもの絵本で「性暴力」という表現をはじめてみて、少し驚きました。しかし、悲しい事件も増えてきた現代、「知識として知る」ことは「自分を守ること」にもつながりますね。
\子どもたちは、とても素直でまっすぐ/
真剣に伝えることで、「体のことでふざけるのはやめよう」「プライベートパーツって大事なんだね」と思ってくれる子がどんどん増えていきました。
園と家庭が連携して、大切なことをやさしく・しっかり伝えていけたらいいですね。
まとめ|“からだのたいせつさ”を親子で考えるきっかけに

絵本『うみとりくのからだのはなし』は、「体の違い=恥ずかしいこと、ふざけてもいいもの」ではなく「自分のからだはとても大切」として伝えてくれる、学びの多い絵本です。
プールや水あそび、着替えなどで体に触れる機会が増えるこの季節。
子どもたちと一緒に【自分を大切にすること(プライベートパーツ)を学ぶ、最初の一歩】としておすすめです。
気になる方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
子どもたちが「自分(からだ)を大切にしよう」と感じられるきっかけになりますように。